本研究では、児童が3人組で文章を読み合い、交流に用いる観点を理解した上でアドバイスし合うという活動を位置付ける。そして、そのことが作文指導に有効に働くことを明らかにする。
作文指導において、読み合う活動を行う時に、児童が思いつきだけで自由に感想を述べ合う交流や、相手の文章の誤字脱字のみを指摘する交流があった。これでは、児童が書く意欲を無くしたり、表現の仕方を書き直すことができなかったりする。
そこで、次の仮説を立て検証した。
1 交流で用いさせたい観点を含んだモデル文と含まないモデル文を比較させる中で、その観点の効果を理解させれば、その観点から交流時に指摘や賞賛を行うだろう。
2 異なる観点を用いて書いている児童による3人組を編成し、交流で指摘や賞賛を行わせれば、自分で用いていない観点のよさに気付き、自分の文章に用いるだろう。
実践の結果、モデル文を読み比べて交流で用いる観点を見付けることは、交流時に書き直しの指摘や文章のよさを賞賛する上で有効であった。また、観点が異なる3人組を編成して相手のよさや改善点について話し合うことは、自分の文章にはない観点のよさに気付くことができ、書き直そうとする態度を促し、新たな観点を用いて文章を書き直す姿に結びついた。