学習指導要領が改訂された。鑑賞者である子どもが能動的に学ぶ鑑賞活動への関心も高まっている。しかし、鑑賞の目標や内容に示された姿に迫るため、どのような授業を行えばよいか、悩んでいる教師が多いのではないだろうか
本研究は、表現者の思いが「みえる」鑑賞活動を目指して行ったものである。小学校5・6年生における2つの実践では、何となく作品を眺めさせるのではなく、鑑賞者に「みる構え」をつくるために、自分たちの作品や美術作品を活用し、新たな鑑賞の視点に気付かせる活動を行ってから鑑賞活動(合評会)を行うようにした。その結果、鑑賞の視点が表現の巧みさに偏ることなく、「手がピンと伸びてスカートがふわっとしているから動きが伝わる」、「なぜその場所を描いたのか分かってきた」などと、形や色、線、構図などから表現者の思いや意図を感じ取ろうとするようになった。また、自分の表現に自信をもてなかった子どもが、友達の言葉によって自分の表現の価値に気付き、自信をもつようになる姿も見ることができた