新しい題材に取りかかると,美術が好きな生徒,得意な生徒は意欲的に取り組むが,苦手とする生徒や意欲的でない生徒の中には発想の段階で難しさを感じ,安易にインターネットなどを使って検索し,そこに出てきたものとほぼ同じものを描いていることが少なくない。また,思いついた案を熟考せずに発想や構想を見直すことがないためか表現が深まらないことがある。この場合,生徒の学びとしては不十分であり,生徒自身が満足できる作品になっていないのではないかと思われる。情報を多く引き出せる便利なツールがある現在,その情報を柔軟に使いこなしつつ,自分の進むべき方向性をしっかりともちながら最後まで自分の作品づくりに深く取り組む姿を期待したい。そこで毎時間,意図的に自分の表現を振り返らせることで今後の表現に見通しをもったり,構想し続けたりできるようにした。また,グループでの相互鑑賞を通して,新たな視点に気付き,最後まで自分の表現に自信をもって制作し続けることができるのではないかと考えた。