誤答を提示し、「なぜそれが誤りであるのか」を考える学習活動は、児童にとって既習内容とのズレを明確にしたり、既習内容を根拠に説明したりする必要性が生まれ、論理的思考力が高まると考えます。しかし、児童の誤答を授業で取り上げるには、十分な配慮が必要となります。そこで、これまでは、教師が意図的に誤答を提示したり、教科書の問題として提示したりして、「なぜそれが誤りなのか」を考えさせる授業を行ってきました。
本実践は、児童の考えを誤答として取り上げるのではありません。また、教師の側から与えるのでもないのです。子ども自らが誤答を考え出し、なぜその誤答が出されるのかの根拠について検討する授業を行いました。研究仮説を「子どもが自ら誤答を考え出し、検討する活動を行うことで既習とのズレを意識したり、多面的な見方・考え方を発揮させたりすることができ、考えの根拠をより深めることができる」とし、次のように実践を行いました。
1 児童が誤答を作る。
単元の終末において、つまずきの多いと考えられる問題を提示します。そして、「テストの出題者になったつもりで、みんながつまずきやすい選択肢を作ろう」と投げ掛け、児童に誤答作りを行わせます。
2 誤答の「引っかかりポイント」と「解決技」を聴き合いの中で明確にする。
「引っかかりポイント」とは、児童の誤った考え方です。児童が考えた誤答を小グループや学級全体での検討の場に出し合い、「この答えには、どんな『引っかかりポイント』があるか」と、問いとその問題の正しい解き方となる「解決技」について考え、説明させることで、誤答の根拠を全体で共有させます。
3 学習後に、誤答を提示し、正解とその誤答の「引っかかりポイント」を確認する。
ワークシートに誤答と「引っかかりポイント」の選択肢を載せ,学習後に確認します。正答を求めるだけでなく、誤答の根拠にも気付かせます。
このように実践したことで、児童に正しい解法とその根拠をより深く理解させることができたと考えます。今後も、他単元においても実践を重ね、児童の学びの様子を検証していきます。