社会科は、社会的事象について多角的に考え、その意味を捉えることが大切です。社会的事象を多角的に考えることで、自分の立場だけでなく、複数の立場で物事を見る目が養われます。その見方・考え方は、将来、子どもたちが社会に参画していく上で必要であると言えます。しかし、これまでの自分の実践では、多角的に考える姿を実現できないこともありました。それは、子どもが、社会的事象について考える際の視点がはっきりしていなかったことに原因があると考えました。そこで本研究では、子どもが多角的に考える視点をつくり、資料を基に話し合うことで、社会的事象の意味を捉える姿を実現していきます。
次の2点から実現に迫りました。
1 社会的事象と子どもの生活とをつなげる単元の導入の工夫
子どもたちにとって身近な社会的事象を教材として取り上げます。その上で、社会的事象と自分の生活とのつながりが意識できるように、単元の導入を構成していきます。取り上げる事象が、自分の生活に深く関わっていることを意識することで、社会的事象を自分の立場を通して考えることができると考えます。例えば、5年生の「日本の工業」についての学習では、自分たちは工業製品を使う消費者であり、その消費者という立場から生産者の願いを考え、日本の工業生産を多角的に捉えられるようにします。
2 複数の立場から社会的事象について考えられる資料提示の工夫
社会的事象を2つの立場から考えられる資料を提示します。本研究では実物、写真、インタビュー資料を用います。学習問題を解決するために、例えば「生産者と消費者」のような2つの立場から考える姿を生み出します。そうすることで、多角的に考え、社会的事象の意味を捉える子どもの姿を実現します。
以上2つの手だてを講じることで、自分の立場だけでなく、複数の立場で物事を見る目を養っていきます。