平成28年度全国学力・学習状況調査において、「登場人物の人物像について、複数の叙述を基にして捉える」設問の全国正答率は6割でした。登場人物の人物像の読み取りについては、国立教育政策研究所が平成19年度から平成22年度の調査結果をまとめた「4年間のまとめ【小学校編】」において課題とされ、物語の登場人物を把握するために叙述内容を分析的に読むこと、登場人物の心情を表現や叙述と関係付けて読むことを指導することが求められていました。
全国学力・学習状況調査においては、平成20年度「登場人物の特徴を捉える」の設問で正答率が5割、平成22年度「登場人物を関係付けて読む」の設問で正答率が6割と低く、平成28年度になっても変わらぬ正答率であることから依然として登場人物の人物像の読み取りが「読むこと」における課題です。そこで、本研究では、文学的文章の学習指導において、子どもが登場人物の行動や会話などの叙述に着目し、複数の叙述を関係付けて人物像を捉える姿を目指して研究を推進しました。
1 複数の叙述を手掛かりに、登場人物の人物像を捉えるための工夫
登場人物の行動や会話などの叙述に着目し、複数の叙述を関係付けたり、解釈したりしながら登場人物の心情を捉えます。登場人物の人物像を深く捉えさせるために、挿絵の吹き出しに捉えた心情を書く活動を設定しました。
2 同一テーマにおけるビブリオバトル的な読書活動の工夫
同一テーマの作品を並行読書し、本を紹介するビブリオバトル的な読書活動を行います。ここでのビブリオバトルは、「ビブリオバトル」の公式ルールを基に、子どもの実態や発達段階に応じてルールを変更した学級独自のものです。表面的な面白さだけでなく、解釈や読み取った物語の深さを仲間に伝えることを目指し、ビブリオバトル的な読書活動を行いました。