教育データベース

2018.11.09

小学校

家庭・技術

新潟

平成30年度

生活をよりよくしようと工夫し創造する態度を育てる授業づくり

新潟市立小針小学校 小野 愛佳

1 研究内容
 次期学習指導要領では、家庭科の目標が「生活の営みに係る見方・考え方を働かせ…資質・能力を…育成することを目指す。」となった。これまでの実践を振り返ってみると、児童の実態に合った学習課題になっておらず、課題意識が生まれない児童が多かった。児童の生活経験で知っていることを基に、話合いを通してよりよい生活を考えさせることが多かった。根拠が曖昧だったため、どの方法が効果的かを実感する実践的・体験的活動には到っていなかった。
 そこで、児童が課題意識をもち、科学的な意味付けを基に生活を工夫し創造する態度を育てるために、①「日常に目を向けるずれのある導入」、②「根拠を基にした思考場面」、③「生活の営みに係る見方・考え方の概念化」の三つの手だてを行う。小学校5年「じょうずに使おうお金と物」、小学校6年「暑い季節を快適に」の単元において実践を行った。
 
2 研究の実際と考察
 手だてを取り入れた授業において、児童のアンケートを分析した。消費生活の単元ではアンケートの結果、自分の家庭の状況に合わせて買い物をした児童が51.5%だった。商品の産地や原材料を見るようになった児童や、祖父が好む物、子どもが好む物を考えてお菓子を買っている児童が増え、生活を工夫し創造する姿が向上した。一方で33.3%の児童が賞味期限などの表示を見て買ったり、本当に必要かどうかを考えて買ったりすることを前から行っていたと回答していた。このことについては成果と課題で後述する。住生活の単元では、アンケートの結果各家庭の間取りや部屋に合わせて、学習したことを工夫している児童が82.4%だった。風の出入り口を考えて窓の開け方を変えたり、体感温度を考えて服の色を白にしたりと生活を工夫し創造する態度が向上したと考える。

3 成果・課題
 ずれのある導入や実験を通して課題を解決していったことで、学習の楽しさや、実感を伴った理解につなげることができた。その結果、生活に役立てようとする姿や使ってみようという思いになったと考える。授業後の生活に役立てているかの質問で「前から家庭で行っていたことだった。」という児童が多かった。その児童が授業後に、今まで児童がもっていた認識と授業で獲得した意味づけを結び付けて家庭で行っているかを検証することができなかった。

<参考文献>
「家庭科教育を学ぶ人のために」/堀内かおる.世界思想社
「平成29年版 小学校新学習指導要領ポイント総整理 家庭」/鈴木明子.東洋館出版社
「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 家庭編」/文部科学省.東洋館出版社