平成30年度、県の学校教育の重点が大きく改訂された。その中では、自他を大切にして行動できることを目標として、「生きる」を活用し、人権教育の中核に同和教育を位置付けている。こうした目標に迫るためには、自他の大切さを認め、それが具体的な態度や行動に現れるようにすることが必要である。これを具現するためには、二つの課題(①自己有用感の向上 ②人権についての学習)を柱にした指導計画を構想する必要があると考える。
また、当校の児童の実態として、無気力で消極的な児童や、絶えず他の児童とトラブルを起こし、時には大きな生徒指導上の問題を起こしてしまう児童がいる。
これらの課題に対し、あらゆる教育活動の中で自己有用感を高めていくこと、さらに他者を思いやること、「差別をしない、許さない」という態度や実践力を育てていくことを課題解決のための視点として据えた。
そのために、全校体制で構成的グループエンカウンターや縦割り班活動を中心として児童同士の関わりを深め、まずは全校児童が関わり合うための共通の土台をつくっていく。そのうえで、「差別をしない、許さない」という態度や実践力を育てるために、同和教育の視点に立った授業実践に取り組み、被差別者の思いを他人事ではなく、自分事として考えさせることが大切である。その手だてとして、「学年の発達段階に即した系統的・計画的な人と関わり、人や地域に学ぶ授業」としてゲストティーチャーと関わる場を意図的に設定することを提案する。
本研究から、縦割り班活動やSGEに計画的に取り組み、行事や活動後に、同じ縦割り班や学級、学年の友達にメッセージカードを渡し、互いのよさを認め合うことは、望ましい関係づくりに有効であると考える。また、人と関わることで、資料だけでは理解しにくい状況や思いが自分事となり、実感や共感を伴って学習することができた。
人や資料から教師が何を学ばせたいのか、はっきりと決めておかないと授業の焦点が定まらない。教師がこれを学ばせたいという強い思いをもつことが大切である。