1 主題設定の理由
これまでの授業の中で生徒たちに物事を論理的に説明したり、記述したりする力を付けてやれなかった。このことを反省し、応用や活用の場面のみならず、計算などの場面においても、なぜその方法を使うのか理由を明らかにし、説明したり記述したりできるように授業を展開していきたいと考えている。
そのためには、様々な問題においてその問題の特徴を的確に捉え、どの解法が適しているのかを判断することが必要であり、そこにフローチャートが有効なのではないかと考えた。生徒同士の対話的な学習の中で、自分自身の手でフローチャートを作成することができれば、計算方法についての理解が深まり、その過程で物事を論理的に説明したり、記述したりする力が伸びると考え、本研究主題を設定した。
2 研究仮説
方程式の指導において、様々なパターンの問題を解く方法を事象に応じて整理し、解法の手順をフローチャートにまとめることができれば、説明したり記述したりする力が高まるであろう。
3 研究内容と手だて
(1)実践を行った単元
計算領域においてもフローチャートは有効であると考え、第1学年「式の計算」、第1学年「方程式」、第3学年「2次方程式」において実践を行った。
(2)手だて1 【質問カード】を使った説明練習
(3)手だて2 フローチャートの作成
4 成果と課題
(1)成果
① 手だて1 「質問カード」を使った説明
○聞き手はカードを使いそびれることがないよう、相手の説明をよく聞いて活動していた。
○説明側は、聞き手が出したカードに対して戸惑いを見せつつも根拠を示して論理的に説明しようとする様子が見られ、意欲も高まったと考えられる。
○使う枚数を「○種類以上」とすることで、説明を聞いてそれで終わり、上手だったねとはならず、関わり合いをもたせるツールとして有効である。
② 手だて2 解き方をフローチャートにまとめる
○アルゴリズムを視覚的にフローチャートにまとめることは、理解を深める上で有効である。
○問題を解く上で、なぜこのような処理をしなければならないのかが明確になるので、根拠を明らかにしながら論理的に説明したり記述したりする力が高まると考えられる。
(2)課題
「質問カード」について、今後はカードがなくても根拠が明らかでなかったり、説明が不十分でなかったりしたときに進んで質問できる生徒になるよう目指していきたい。
また、フローチャートを作成することが目的ではなく、フローチャートを使って課題解決ができることが目的である。実際にフローチャートを使いながら問題を解かせ、根拠を明らかにしてどのような処理をする必要があるかを説明できるようにしていきたい。