主体的・対話的で深い学びのために、学びを自覚させることが大切である。学びを自覚させる手だてとして、授業後に振り返りを書かせることが有効である。これまで授業の終末で振り返りを書かせてきたが、時間的、内容的に振り返りを毎時間書かせることは難しかった。そこで、単元を通して何ができるようになったかという振り返りを行うこととした。
1 手だて
一つ目の手だてとして、単元の終末に、自分の学びを振り返るために「解き方説明書」作りを行う。「解き方説明書」作りは、数と計算領域で4単元連続で行うこととした。二つ目の手だてとして、これまで自分が作った説明書と比較し、自らの成長を振り返らせた。長期的な視点で「何ができるようになったか」ということを捉えさせ、学びを自覚できれば、次への学びに向かう力となると考えた。
2 振り返り記述の検証
1回目の説明書と2回目の説明書を比較して振り返りを書かせると、「説明を自分で書けるようになった」「絵のところに数字を書くようになった」という技能面での成長を感じている児童が71%いた。4回目まで説明書を書いて、自分の書いた四つの説明書を比較させると、「図に数字や矢印を書いて、迷ったらもう1回問題を読む」「右左を書いたり、言葉を付けたり、違う色で囲んだりした」というように、技能面での成長をより具体的に記述する児童が増えた。そして、解き方説明書を4回繰り返したことで、88%の児童が技能面での成長を自覚することができた。
意欲面での記述に目を向けると、「図を描けるようになって楽しかった」「説明の言葉ができるようになってうれしかった」「もっといろいろな問題をやりたい」など、79%の児童が意欲面について記述していた。4回継続して説明書作りに取り組んできたことでより成長を感じることができ、意欲の高まりにつながったと考えられる。
3 成果と課題
本研究で、単元終了後「解き方説明書」作りを行い、自分の作った説明書を振り返ることによって、具体的な自分の成長を記述できた。ほぼ全員が技能面での成長を自覚することができ、学習意欲向上に関する記述も非常に多くの児童から見られた。よって、学びを自覚させるのに有効であったといえる。
今後は、学びの自覚が学習意欲の高まりにつながり、さらに学力向上につながる方法を考える。