教育データベース

2018.11.09

中学校

国語

下越

平成30年度

説明的文章の構成を明確にし、主張を捉えることができる生徒の育成

胎内市立乙中学校 佐藤 峻資

 これまで自身の実践では、文章作成のための「構想メモ」は、全員が同じ形式のプリントに時系列に思いついたエピソードを書く程度の構成で内容をまとめさせるものが多かった。しかし、そのような「曖昧な構想メモ」では、生徒が意欲的に活動し、見通しを立てて文章の執筆に臨むことはできなかった。
 そこで、説明的文章の構成を「主張」「小見出し」「例示」の要素で階層別に可視化することのできる思考ツール「ピラミッド型構成図」を説明的文章の単元において用い、実践を行った。
1 手だての有効性の検証
 1年時は、説明的文章を要約する際に、次の流れで授業を展開した。 
  ① 筆者の主張を要約し、構成図の頂点に記入する。
  ② 意味段落に「小見出し」を付けて構成図の上から2段目に記入する。
  ③ 意味段落ごとに「例示」を要約し、構成図の上から3段目に記入する。
  ④ ①~③の手順を行った後に筆者の主張に立ち返る。
 以上の流れで説明的文章の単元を行い、生徒記述の振り返りからの結果を見ると、文章を「まとめる」「統一する」機能として、「ピラミッド型構成図」が活用されたことが分かった。
2 手だてを活用した説明活動の充実
 2年時は「ピラミッド型構成図」を用い、「主張文」の構想メモとして活用し、次の流れで授業を展開した。
  ① 主張文の結論をまず決定し、構成図の頂点に配置する。
  ② 主張文の意味段落に「小見出し」を作成し、上から3段目に配置する。
  ③ 小見出しから「序論」「本論」に分類し、上から2段目に配置する。
  ④ 小見出しから80字で「例示」を作成し、上から4段目に配置する。
 以上の流れで主張文の構想を立て、その後原稿用紙に執筆を行った。
3 成果と課題
 前年度の主張文との比較等、実践の分析を行った結果、多くの生徒が昨年度より充実した内容で、かつ短い執筆時間で主張文を記述することができた。本研究から、可視化によって構想段階で文章構成を確立し、本論の吟味を充分行うことが質の高い文章を作成するために重要であることが明らかになった。今後は様々な文章ジャンルにおいても構成図活用の機会を設定し、汎用性が高められるよう、実践を積み重ねていきたい。