教育データベース

2018.11.09

小学校

特別活動

下越

平成30年度

自治的集団を育てる学級活動

阿賀野市立水原小学校 吉川 恒夫

 特別活動では、集団や社会の形成者として、多様な他者と協働して、集団や生活上の諸問題を解決し、よりよい生活をつくろうとする姿を育成していくことが大切である。私が目指している学級の姿は、児童が学級の課題に気付き、学校生活をよりよくするために主体的に話し合い、学校生活の様々な場面でしっかりと思考して行動できる自治的集団である。自治的集団づくりのためにクラス会議を行って様々な実践をしていくが、その中で最も大切なのは「学級の問題意識の共有」であると考える。そこで、教室に提案カードと議題箱を設置して児童の声を集め、そこから議題を選定してクラス会議を開いてきた。しかし、提案カードに書かれた一部の児童の困り感を表出しても、問題意識が全体に共有されないという問題点が残った。
 上述の問題点を改善するための手だてとして「学級力レーダーチャート」を児童に提示し、学級の問題意識の共有を図ることにした。
1 実践Ⅰ
 クラス会議前に、「学級力レーダーチャート」を提示し、数値が低い部分に着目させた。そこからクラスの問題点を挙げ、全体で課題を共有した。クラス会議後に実践を行い、振り返りを行ったが、問題点の改善は一時的なもので、根本的な解決には至らなかった。それは、レーダーチャートは学級全体の問題意識であったが、そのために主体者意識が生まれにくかったためであると考える。
2 実践Ⅱ
 今回は、「困っていますカード(個人の困り感)」と「学級力レーダーチャート」を併用し、学級の問題点を段階的に広げていく方法を考案した。まず、児童に「困っていますカード」を配布して個人の困り感を表出させ、クラスで紹介した。次に、類似の経験をもつ児童の拾い上げを行い、同じように困り感をもっている児童がいることを周知した。この段階で、さらに、一部の困り感を全体に広めるため、「学級力レーダーチャート」を提示して学級の問題を可視化し、数値が低くなっている部分に着目させた。なぜ低くなっているのか、「困っていますカード」の記述を基に考えさせ、個人の困り感が学級の問題であることに気付かせた。
3 成果と課題
 「困っていますカード」と「学級力レーダーチャート」の併用により、学級全体が課題をしっかりと意識し、何とかしたいという児童の意欲を高めることができた。また、話の論点が焦点化し、主体的な話合いをすることができた。

<参考文献>
「自ら向上する子どもを育てる学級づくり 成功する自治的集団へのアプローチ」/赤坂真二 編著.明治図書
「楽しく豊かな学級・学校生活をつくる特別活動小学校編」/国立教育政策研究所教育課程研究センター.文溪堂