器械運動の授業では、技のポイントを確認しても、自分の運動している様子が分からずに、自己の課題が正確につかめない児童が見られた。このような児童は、その後の練習の場の選択時において、課題を克服するための自分に適した練習の場を選ぶことができず、技能の習得に効果的な練習につながらなかった。そこで、タブレット型PCを使ってスローで再生したり、途中で止めたりしながら体の動きを確認することができるというメリットを生かし、5年生の跳び箱運動のかかえこみ跳びの実践を行った。タブレット型PCを用いて、自分の動きと模範の動きとの映像比較を通して、自己の課題を見付ける「課題把握」に着目し、以下の流れで実践を行った。
1 ICT機器を用いて、かかえこみ跳びの技のポイントを確認し、カードに書き込む。
2パターンのかかえこみ跳びの動画を比較しながら、技のポイントを見付ける活動を行った。「手を着く位置」「跳び箱の上で肩と腰の高さが地面と水平になること」「突き放し」の3点をポイントとして全員で確認した。
2 立ち位置に配慮し、運動の様子を動画で撮影する。
四人一組で動画の撮影を行った。タブレット型PCの画面上にグリッド線を表示させ、9分割された画面の真ん中下のスペースに跳び箱の側面が入るように撮影者の立ち位置を決定した。
3 自分の動きと模範の動きの動画を比較し、自分の課題を明確にする。
3点のポイントごとに良し悪しを判断する基準を与え、グループで動画を見合いながら課題を見付ける話し合いを行った。その際に、動画を一時停止させたり、スロー再生したりしながら三つのポイントに着目することができるタブレット型PCの操作方法を教えた。
4 自己の課題解決のための練習の場を選択する。
連結跳び箱の場、ステージの場、セーフティーマットの場、縦跳び箱の場を用意し、自己の課題解決に適した場を選択し、練習した。
上記の授業の流れにより、技のポイントに即した自己の課題を把握し、課題解決のために自分に適した場を根拠をもって選択することができた。