これまで私が指導した体育の「リズムダンス」では、踊ることを苦手とする児童が必ずいた。その原因は、「恥ずかしい」という思いや「振付が覚えられない」という2点が主に挙げられる。その先入観によって踊ることの楽しさを感じることができない児童をこれまでにたくさん見てきた。
そこで、本研究ではリズムダンスの楽しさを実感し、踊ることに抵抗を感じない児童の姿を目指した。その手だてとして、私は「ノンストップダンス」と「部位を限定した指導」を取り入れ実践した。
1 「ノンストップダンス」について
その名のとおり、止まらずに踊り続ける活動である。やり方は簡単で、体操の隊形に広がり、5~10分間、教師の動きを見て、真似しながら踊り続ける。教師を真似して踊るというシンプルな活動は誰でも取り組むことができる。教師の動きは、音楽に乗って弾むことを中心とする。簡単なジャンプ→足の開閉→足の前後→左右へのステップなど、簡単なものから難しいステップまでレベルを変えていく。全体の様子を見ながら難易度を変える。本時に気付かせたい動きや体の使い方、音の取り方などを紹介すると児童は気付きやすくなる。
2 体の部位を限定した指導について
ダンスは複雑な動きが多く、振り付けを見ただけで抵抗を感じる児童も多い。そこで部位を限定して指導する。「まずは手の動きだけを覚えましょう」「次に足の動きだけを覚えましょう」と部位を限定することがスモールステップになると考える。児童にとっても、集中して覚えることができる。最大のよさは、どれか一つでもできていれば「踊っている」という感覚になることである。スモールステップによって全員が踊れるようになる。
以上2点の手だてを組み合わせて指導した結果、児童は授業の振り返りでリズムダンスの楽しさを容易に感じることができたと記述している。簡単な動きを繰り返すことでリズムに乗ることができ、体の部位を限定する指導で振り付けを着実に覚えることができた。