平成27年度実施の全国学力学習状況調査で、児童が結果を見通して実験を構想したり、実験結果を基に自分の考えを改善したりすることができないことが指摘された。その原因として二つ挙げられる。一つ目は、課題を解決するための道筋である「問題解決の過程」とその場面ごとに何をしなければいけないのかという「技能」を知らないということ、二つ目は、実験計画と結果から導き出した考察について、妥当性を検討する場が無く、検討の仕方が分からないということだ。そこで、児童が問題解決をどのように進めるか分かるように、小・中学校で行う観察、実験を整理し、まとめた「探究の過程の8の字型モデル」を開発した。また、探究の過程の各場面ごとに活用できる能力を整理し、視覚化したカード型教材「探究アイテム」も開発した。これらの教材を使い、以下のような手だてを講じ、児童が見通しをもち、問題解決に主体的に取り組めるよう、実践を行っている。
1 探究の過程と、解決のための技能を意識させる授業展開
児童に探究の過程と、解決のための技能を意識させるために、開発した「探究の過程の8の字型モデル」と「探究アイテム」を利用し、授業展開を工夫して行っている。「探究の過程の8の字型モデル」については、教室に掲示するとともにノートにも貼らせ、毎時間、「今問題解決の過程で、どの場面にいるのか」、「次はどの場面なのか」を確認している。また、場面を確認した後に「探究アイテム」を使い、場面ごとにどのような技能が必要なのか確認したり、観察や実験で必要な技能を選択し、児童同士で話し合ったりしながら、児童が探究の過程と解決のための技能を意識できるように働き掛ける。
2 実験の立案及び考察の妥当性を検討するための「実験計画検討会」「結果報告会」を位置づけた単元構成
自分たちの実験の立案及び考察の妥当性について検討するには、問題を明確にし、問題解決の過程を進みながら、「実験計画検討会」や「結果報告会」等、検討する場を設ける必要があると考える。具体的な数値に着目させ、実験方法に間違いはないか、仮説と結果の一致、不一致は納得がいくものか、について話し合わせていく。これにより、自分たちの実験立案及び考察の妥当性を検討する能力の育成を目指す。
実践を進める中で、児童は、今何をするのか、次の時間に何をしなければいけないのか、見通しをもって学習をすることができるようになってきている。今後も「探究の過程の8の字型モデル」等を活用しながら実践を進め、児童が主体的に問題解決に取り組むことができるよう、指導を続けていく。