生徒が自己実現に向けて主体的に学び、行動し、よりよい人間関係を築く土台は、自己肯定感である。自分のよさを知り、自分を好きになってこそ生徒は自信をもって様々なことに挑戦できる。そこで、私は生徒が、高校に進学し周りの環境が変わっても、挑戦意欲をもち続け、自分の人生を前向きに歩んでいけるよう以下の3点を意識して、生徒の自己肯定感の向上を目指した学級づくりに取り組んだ。
1 生活ノートを通して、日常的に生徒を肯定する
毎日学級の生徒一人一人と話をし、その子のよさを認めていくことは難しい。そこで、生徒が毎日担任に提出する生活ノートに、その日の行動や記述に対する、ほめる言葉や期待している事が伝わる言葉を書く。生活ノートが、単なる日記で終わるのではなく、ほめ言葉や激励の言葉でいあふれるノートになることで、自分の日々の言動に自信をもてるようになると考える。また、この生活ノートは保護者も見ることができるものである。よって、生活ノートが保護者に対しての情報発信の役割も果たしている。生活ノートの記述がきっかけで、家庭でも誉められ、生徒の自己肯定感が更に向上することが期待できる。
2 生徒同士が互いのよさを見取り、認め合う場を日常的に設定する
担任や保護者だけではなく、生徒同士がよい行動を見取り、認め合うことができれば、生徒の自己肯定感は高まる。そこで、私は、日常的に他の生徒の良い行動を見付けたら、記録し、付箋を書かせ、学級に掲示するようにした。付箋を樹の花びらに例え、学級目標「We are active」と関係付け、昨年度は1年間継続して行った。例えば、「数学の時間、難しい問題を分かりやすく教えてくれた」「掃除の時間、自分の担当場所が終わった後、教室の清掃を手伝っていた」など、具体的な行動を誰が行ったか分かるようにして、学級全体で共有した。担任だけでは、見取りきれない個々の生徒の長所が、付箋を通して共有され、現在も学級の文化の一つとして継続している。
3 学校行事を学級づくりに最大限に生かす。
体育祭や合唱コンクールなどの全校行事の際、生徒の役割を明確にし、個々の生徒の目標を設定した上で、その目標に対する激励や期待の言葉をクラスメイトが文章にして送る活動を行う。行事終了後は、互いに感謝や努力を認め合う言葉を送り合う。生徒は自分が学級から必要とされている喜びを感じるとともに自分の頑張りや成長を実感する。この喜びは、自己肯定感を高めるだけでなく、自分の可能性を信じ自己決定していく力、つまり、将来のキャリア形成にも強くつながる要素だと考える。