マット運動では、一人一人の挑戦する技の種類などに対応できるように場の設定を増やしたり工夫したりしてきた。しかし、マット運動はできるできないがはっきりしており、苦手意識が高い生徒も多く、新しい技をなかなか習得できない生徒も見られる。
そこで、運動する意欲を高めるために関わり合いをマット運動に取り入れた。生徒は能力に関係なく、友達と関わり合いながら運動することを好む傾向がある。個人的な運動の領域であるマット運動も、仲間と関わり合う活動を取り入れることで活動意欲が高まり、主体的に練習に取り組むことが期待できる。また、運動量が増え、技能の向上を図ることができると考える。
本研究では、仲間との関わり合いを増やす工夫として次の手だてを講じる。
1 シンクロマットの導入
シンクロマットは、マット運動の技を複数でタイミングを合わせたり、ずらしたりして行う運動である。シンクロマットの演技を創り上げるには、チームの仲間と話し合い、補助し合って協力するなど、関わり合う必要がある。チームの仲間とシンクロマットの演技を構成して完成させていく活動は、マット運動の苦手な生徒も活動の意欲を高め、積極的な練習が技能の向上につながると考える。
2 練習における場面設定の工夫
授業では、部分練習コーナー、通し練習コーナー、ミーティングコーナーを設置して、ローテーションしながら練習に取り組ませていく。それぞれのコーナーで何をするのかを明確にして、チームの演技を構成していくための過程を踏ませていく。また、資料や映像を十分に準備して、必要な情報を随時得られるようにする。
3 焦点化されためあての提示
シンクロマットの演技構成をより具体的に考えていけるように、シンクロマットの演技構成を考える小単元時に、具体的な動きを示しめあてを焦点化する。適切な情報を提示することで、完成演技を意識した適切な関わり合いが生まれ、よりよい演技構成を創り上げることができる。