平成27年度英語教育改善のための英語力調査事業(中学校)報告書では、「話すこと」の中で、英語を「与えられた課題について、(特に準備をすることなく)即興で話す活動をしていた」と回答した生徒は30.4%と少ないことが明らかになっている。また、「話すこと」のテストスコアが高いほど即興で話す活動を経験した生徒の割合が高いことも示されている。生徒のコミュニケーション能力を高めていくために、即興で話す活動を積極的に授業に取り入れていく必要がある。
実践を行った学級の生徒は、英語の力を付けたいという意欲は高いものの、実際の英語能力は高いとは言えない。書くこと、話すこと、読むこと、聞くことの4技能の中では、話すことに関して最も苦手を感じる生徒が多く、簡単な質問に対しても応答に窮する生徒が多くいた。
そこで、実際に即興的に話す活動を授業の最初10分程度の帯活動として毎時間の授業に取り入れることにした。しかし、単なるドリル的な一問一答の会話練習のみを行って応答の仕方を身に付けただけでは、生徒が本当の意味でのコミュニケーション能力を身に付けたとは言えないと考え、与えられた質問に対しての一問一答ではなく、応答+αで話すこととした。また、同じ内容での会話を複数回繰り返したり、代表生徒の会話を例示して教師がそれに対してフィードバックを加えたりすることで、どのように話をつなげれば良いかを知り、会話を継続させることができるようになると考えた。
これらの手だてを講じて、生徒がどの程度「話すこと」の力を付けることができるのかを検証していく。