算数科における考え、表現する手だてには、具体物の他、言葉、数、式、図、表、グラフなどがある。また、「考える能力と表現する能力とは互いに補完し合う関係」(学習指導要領)である。これまでの算数指導を振り返ると、「ある問題に出会ったときに、頭の中で考える子どもが多い」という印象が残る。手続き(立式や答えに至る一定の形式や順序)ばかりが先行して、意味(立式や答えに至る根拠)が伴っていないのである。つまり、立式したり計算したりするときに、直感的、形式的に考えていて、立式や解に至る根拠が見えないのである。
以上のことから、計算や立式をするときに、意味と手続きを関連させて考えさせることにより、子どもたちは考え、表現し、理解がより深まっていくのではないかと考え、次の2点から課題の解決に迫った。
1 モデルの共有化
2桁×1桁の筆算において、「位ごとに計算する」という筆算の原理(意味)を図式化したモデルを示し、共有化を図った。この図式を使うことにより、繰り上がりの仕方や3桁×1桁の計算(手続き)が意味を伴ってできるようになった。
2 モデル図の活用
2段階の式で答えを求める問題は、学力テストで正答率が低かった。複雑な問題場面を図化することが重要と考え、モデルの図を示した。児童は、別の問題でモデルの図(意味)を問題場面に合わせて新しく構成して、正しく立式(手続き)することができた。
今後も、問題解決場面で様々な方法が選択できるよう、場面に応じたモデルを示し、活用させることによって、児童が意味を伴った手続きをできるよう研究していく。