新学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」の実現が重視されている。と同時に、その学びを通して何を学び、何を身に付けるかという「資質・能力」を明確にすることも求められている。
文学的文章を読むことの大きな目的は、最終的に作品のもつメッセージを児童がそれぞれに読み取り、自身の価値観を広げたり深めたりすることであると考える。また、読み取る過程において、文章表現や構造・構成のどこに着目すれば作品のメッセージに辿り着けるのかを自己の学びの手段として蓄積させていくことも非常に重要である。
そこで、次の二つの手だてを取り入れて研究を進める。
1 「構造・形象・吟味よみ」の視点を学習過程に取り入れた単元計画の作成
児童が文学的文章を学ぶ学習過程を三つに分けた。一つ目は「クライマックス」などの作品の構成・構造を読む「構造よみ」。二つ目は「比喩・反復・象徴」などの形象・技法を読む「形象よみ」。そして上述した二つを活かしながら作品のメッセージやクライマックス場面について吟味・評価する「吟味よみ」。これら三つ視点を取り入れた単元計画を作成する。さらに主教材と並行して副教材を読み進めることで、文章の内容だけでなく、文章構成・構造や文章表現に着目しながら自分の読みを形成することができると考える。
2 「どちらが…」「もしも…」という思考方法を使った課題の設定
単元の終末に、「吟味よみ」の一つである「仮に(もしも)…という構成だったら?」や「もしも○○(中心人物)が…していたら?」など、物語の構成・構造や中心人物の行動の別の可能性を提示し、賛成か反対かを問う活動を設定する。すると、逆説的に作者が選んだ文章構成・構造や表現のよさが見えてくる。そこから作品のメッセージに辿り着くことができると考える。
この二つの手だてを文学的文章の指導の柱として、日々の実践に取り組んでいる。文学を読むことによって言葉への見方・考え方を更新していく児童の育成を目指す。