本校は新潟市の中心部に位置し、新潟市の政治、文化の中心ともいえる場所にあり、「共に歩む地域の学校」として様々な地域とかかわる活動を年間を通して行ってきた。しかし、生徒アンケートでは、これらの活動を行ってきたにも関わらず、地域に対する思いや、魅力を感じるかといった項目において低い評価となっていた。
そこで、生徒たちが実際に地域に出て、地域の現状を把握し、課題意識をもたせることにした。そして、その後の様々な教育活動を、地域を学びの場、活動の場として行うことで、「自分たちに何ができるか」といった地域に対する思いをはぐくむことができ、さらに今後の地域の在り方、自分たちの生き方にまで有効に作用していくと考えた。
本実践では既に教育活動に位置付けられていた地域とかかわる活動を再構成したり、地域をステージとした新たな活動を企画したりして、自校の地域教育プログラムを構築した。特に地域で活動する際には単なるPDCAサイクルではなく、その前提となる『R』こそが重要な要素となり、『R-PDCAサイクル』をベースとした活動を組織していくことが有効であると考えた。地域での活動ではその前提となる綿密な『R』が特に重要であると考える。
『R』とは何か。私が考える『R』とはResearch(調査)とReal(現状)だ。生徒の現状、課題意識、地域の思い、地域の抱える課題などが今回の『R』に該当する。その地域の特徴、現状を知ることなく他地域で行ったPDCAサイクルを元にして活動を組織しても意味はないと考える。そこで、地域の現状、生徒の地域についての思いを十分に把握し活動を考え実施した。また、同時に私たち自身の『R』に対する意識、『Rを見抜く力』も大切になってくるはずであると考える。
本実践ではこれらを踏まえ地域を学びの起点として、そこから様々な活動を企画し実践を重ねていく中でどのような生徒の変容が見られたかを検証していく。