教育データベース

2017.11.07

小学校

特別活動

中越

平成29年度

児童の自尊感情を高める話合いの指導

長岡市立大島小学校 高橋 宇

 学校教育を通して、どの子にも社会で生きていくための力を付ける必要があると考える。社会で生きていく力を付けるためには、「自分に自信をもつこと」、つまり、自尊感情を高めることが不可欠であると私は考える。自尊感情について、新潟青陵大学の碓井は、「自分自身を価値ある者である、好きだと感じる、大切に思える気持ちのこと」と述べている。また、国立教育政策研究所は、「自己に対して肯定的な評価を抱いている状態」としている。
 自尊感情を高めるための手だてを探す中で、アドラー心理学に基づく「クラス会議」に着目した。クラス会議について上越教育大学の赤坂は、「分かり合い、協力し、双方が納得する答えを出す民主的な話合い」「子どもたちが生活上の問題を議題として出し、クラス全体で解決を探す」時間であるとしている。赤坂はクラス会議の効果の研究を行い、クラス会議が子どもの良好な人間関係を形成する場になり、子どもはそこで、自尊感情を高めていたことが伺えたとしている。そして、クラス会議における自尊感情を高めた要因は、自分が学級の役に立っているという実感と自分の気持ちや考えを分かってもらえた実感であると述べている。
 昨年度、3学年を担任した。3年生は文部科学省によれば、自尊感情が低下し始める時期である。年度当初から「僕なんかできない」と自分を卑下する子どもの姿が見られた。また今まで、話合いで学級のことを決めて、それに基づいて協力して取り組んだことが少なかった。そこで、週に1時間程度クラス会議を取り入れた。さらに、より自尊感情が高められるように「話合いのルールの確認」「頑張った人さがし」「議題と解決策の掲示」などの本学級に合うように内容を修正した。
 本実践では、これまでに話合いで学級の問題などを解決する経験のなかった3年生の児童が、クラス会議を基にした話合い活動をすることで、自尊感情を高めていくことを目指す。

〈参考文献〉
赤坂真二「赤坂版『クラス会議』完全マニュアル 人とつながって生きる子どもを育てる」ほんの森出版