教育データベース

2017.02.02

新潟

平成28年度

教育相談的手法を用いた児童の学びを確かなものにする授業づくり

新潟市教育相談センター 伊石 良博

 生徒指導上の問題行動に発展するケースの一つとして、学習上の不適応が挙げられる。また、対人関係の不和からも同様である。特別な支援が必要な児童もおり、児童同士がうまくかかわる術をもち合わせておらず、どのように関わったらよいか分からない児童がいる。
 授業のとりわけ少人数指導においては、教師が理解に苦しむ児童へ個別に対応し、確実に学習内容を分からせるきめ細やかな策をとる。これは、よくとる策である。そこには、教師と児童の一対一のかかわりは存在するが、更なる児童の社会性(関わり合う力)を育てる限界がある。少人数指導においても、児童同士による教え合いや考えの関わり合いを取り入れる。それによって、児童の社会性(関わり合う力)の育成と児童の学びを確かなものにすることを同時にねらう授業を、大胆に仕組めないかと考えた。
 そこで、本研究は第4学年算数科少人数指導の1単位授業の中に、ピア・サポートモデル(トレーニング→パーソナルプランニング→サポート活動→スーパービジョン)を取り入れる。この一連の流れを、授業ごとに繰り返し行うことで、児童の社会性(関わり合う力)を育てるとともに、児童の学びを確かなものにしていくことを目指していく。特に、授業のねらいに即して、サポート活動に使う話し方、聞き方練習をトレーニングの段階で仕組んだことが研究の核心部分である。授業と生徒指導の一体化の一例として、生徒指導上の諸問題の解決に資するものであると考える。
 研究の結果、学習内容の定着は図れた。さらに、トレーニングの段階で意図的に練習した話し方や聞き方を取り入れたこと、集団でサポートしたことや考えをかかわらせたことで、問題解決の過程を説明する力は有意な差をもって向上した。
 また、集団で関わることを苦手と感じていた児童も、実際に繰り返し関わらせることで、楽しさが生じてくることが分かった。このような、社会性(関わる力)の向上が多くの児童に見られた。