特別な支援を必要とする児童のA児は、衝動性や多動性が強いために、学習や対人関係上、成功体験が積み重ならず、学校生活にうまく適応できない状態にあった。A児の日頃の言動から自己肯定感が低い様子が伺われた。
本研究では、A児の自己肯定感を高めることで、学習活動へ参加する機会を増やしていく。そのために次のような手立てを講じる。
<手立て>
①自己決定の場面を設定する
特別支援学級で個々の学習に取り組ませる際に学習の内容や量を選択させたり、通常の学級で一日何時間学習するのか決めさせたりして、本人が納得した形で学習させる。
②学習意欲を高める
本人の知的好奇心をくすぐるような操作的な活動や体験的な活動を取り入れる。また、対人関係上、不安に思っていることを解決して、安心して参加できるようにする。
③称賛の機会を位置付ける
学習に参加できた際に、具体的にうまく活動できた場面を取り上げて称賛する。さらに、トークンシステムを取り入れ、事前に約束したことが守れた際に、シールを渡すようにする。シールがたまったら自由時間と交換できるようにする。
以上のような手立てを講じ、児童の変容を探っていった。