教育データベース

2017.02.02

小学校

道徳

中越

平成28年度

相手の立場に立って考える力を育てる道徳授業の工夫

小千谷市立小千谷小学校 上村 進一

 本研究では、自分の気持ちを大切にしつつ、相手の気持ちも考慮した言動をとれる力をはぐくむことをねらいとした。そのために、葛藤場面において、どの言動がよりよいか吟味する活動に重点を置いた授業展開を行った。工夫した点は以下の3点である。
1 事前準備の工夫
 話合いの時間を十分に確保するため、事前に朝学習などの時間を活用して、資料の読解とともに、葛藤場面においてどのような言動をすべきかについて、児童個々の考えの記述を済ませておく。教師は児童の意見を集約しておき、本時の最初に提示する。このような手だてによって、本時の展開で一つ一つの課題解決のよさや正しさの吟味に十分時間をかけられるようにした。
2 意見提示の仕方の工夫
 事前に集約した意見をもとに、最初は一人の登場人物にしか注目していない意見から提示し、その意見のメリット・デメリットを話し合う。次に、複数の登場人物の立場を考慮した様々な意見を提示し、それぞれのメリット・デメリットを話し合う。これにより、様々な人の立場に立って考えることの大切さに気付けると考えた。
3 自己決定の場の工夫
 意見を発表できる人数は限られており、聞き役に回る児童も出てくることが予想される。そこで、話合いが収束しそれぞれの意見のメリット・デメリットが明らかになったところで、再度どのような言動を取るべきか一人一人が考える時間を設けた。これにより、一人一人が聞き役としても主体的に話合い活動に参加することを期待した。
 事前に資料提示や個々の意見を記述する時間を設けたことで、それぞれの行為の道徳的価値について吟味する時間を十分に確保することができた。そのため、児童は授業の中で、相手の立場に立って行動することのよさに気付き、相手がどう思うかを意識した上で自分の行動を考えようとする姿勢が育っていった。
 授業後のアンケートでも、このような授業展開に好意的な回答をする児童が多く、児童の意欲面でも有効性が感じられた。