私は意欲的に長距離走を行う手だてとして駅伝競走を取り入れた。様々な手だての中に仲間同士での励ましや応援によって生徒の意欲を喚起し、長距離走に興味や関心をもたせ、発展的な課題として、駅伝競走を行うことでチームとしての達成感や個人としての満足感を味あわせたいと考えた。
本研究では駅伝競走を最終的な目標として、様々な手だてを工夫し、長距離走に対する嫌悪感を取り除き、生徒が意欲的に長距離走に取り組むことができるよう、次のような手だてを行った。
1 駅伝競走を取り入れることで仲間とのかかわり合い(応援や励まし)を感じ、自分の力を最大限発揮する。
(1)チーム状況に配慮したコース選択
Aコース(第1走者)1.6km、Bコース(第2・3走者)1.1km、Cコース(第4走者)1.4kmを設定し、1チーム4名での駅伝大会を2回行い、1回目と2回目の記録を比較する。
(2)コース試走を兼ねた集団走による持久力の向上
一番遅い生徒のペースに合わせ、チームとして集団走を行う。コースの状況確認や走り方のアドバイスを行い、駅伝競走大会へ向けた作戦を考えながら走るように指導する。
(3)プレ駅伝大会によるチーム力(結束力)の育成
体育館でのプレ駅伝大会を行い、1周(100m)ごとのラップや周回数を仲間が教えてあげることで安心して走ることができる。また応援や励ましによってチームとしての結束力が高まる。
2 様々な取組過程を工夫することにより、長距離走に対しての苦しさや辛ささの軽減を図る。
(1) 持久力を高める適切な脈拍とペースタイムの設定
体育館で実施。1周100mのコースで、120回~140回/分の脈拍数まで上げ、持久力向上に適したペースをつかむ。(5分を3セット、計15分実施)
(2)ウォーミングアップの工夫
ウォーミングアップ時に100mを何秒で走っているかをスポーツタイマーで確認したり、ペース表を用いて、自分のペースを把握させたりする。終了後必ず脈拍を測り、120回~140回/分の脈拍で走ることができたか確認する。
(3)学習カードや長距離記録表、ペース表、駅伝作戦シートなどにおける意欲喚起の工夫
個人やチームの課題を共有する資料として、それを基に技能の向上や結束力を高める。より駅伝競走への興味・関心を引き出すことで、長距離走への意欲喚起につなげる。
様々な手だてを実践することによって、長距離走をただ単に長距離を走るだけの苦しいスポーツでなく、ペースを考えて走ってみたり、フォームを考えて走ったり、仲間の応援や励ましによって苦しくても頑張って走ったり、様々な走り方を経験することでほとんどの生徒が長距離走に意欲的に取り組むことができた。そこには生徒の達成感や満足感があったのだと考える。今後も体育授業では集団の力を学ぶ力(興味・関心・意欲)に変えて他の単元でも実践していきたい。