私は、マット運動において以下の二つの手だてを講じることで思考と技能が高まると仮説を立て、実践研究を行った。
手だて1 「技のイメージとリズムを言語化した口伴奏を提示し、選択・発展させる」
子どもたちに口伴奏を二つ提示した。開脚前転では「ピン(脚を伸ばす)、パカ(開脚する)!バン(力強く着手する)」と「ピーン(脚を伸ばす時間を長くする)、パカ!バン!」の二種類を提示し、脚を開くタイミングを思考させた。声を掛け合いながら練習し、回転の後半に脚を開いた方が勢いがつくことに気付いた。また、技のポイントを意識し、思考しながら運動している姿が見られた。
手だて2 「身に付けたい技や発展的な技を集団で行う場の設定」
口伴奏を用いて練習する段階と音楽に合わせて即興で集団演技を行う場を往還的に行った。音楽に合わせて心と体を開放的にした状態で行うことで、意欲が高まり、技能の定着だけでなく発展的な技(バンという口伴奏を無くし、着手なしの開脚前転や仲間とシンクロさせた開脚前転)に取り組んでいる姿も見られた。
子どもたちは口伴奏を通して思考し、そのよさを実感していた。また、形成的授業評価や教師の見とりからも技能の高まりが見てとれた。
2年目も同様の手だてで、倒立前転、伸膝後転で実践を行った。今後も、他の学年や他の技での実践を積み重ねていく。