教育データベース

2017.02.02

中学校

外国語活動・英語

下越

平成28年度

英語プレゼンテーションを柱にした授業の試み

村上市立山北中学校 石黒 豊

 文部科学省がH26年度に実施した英語力調査(高校3年生)では、「話すこと」に関して、英語でスピーチやプレゼンテーションをした経験が少ないということが明らかとなっている。一方で、「話すこと」のテストスコアが高いほど、授業において「英語でスピーチやプレゼンテーションをしていたと思う」生徒の割合が高いことが分かった。眞田(2010)は高等学校で英語プレゼンテーションに特化した授業に取り組んだ。実践後、眞田(2010)は「自ら情報を発信し、自分の考えを論理的に英語で発表する力が向上した(p. 161)」としている。これらのことから、当校生徒の課題である自分の考えや思いを表現することができる生徒の育成を目指し、単元を貫く言語活動として英語プレゼンテーションを設定し、その効果を検証していくこととした。
 英語プレゼンテーションは単元の目標言語材料を習得・活用する場面として設定され、生徒はプレゼンテーションの準備を進める過程で、目標言語材料も繰り返し学習した。また、プレゼンテーションに必要な技能やスライドの作成方法なども指導した。
 結果として、英語プレゼンテーションは目標言語材料の習得に肯定的な影響を与えるということが明らかとなった(p<.01)。これは生徒が単元を通じて多くのインプットが与えられ、アウトプットすることによって習得が促されたのだと考えられる。また、リハーサル時には教師からの明示的なフィードバックも与えられるため、生徒は振り返る場面が多く与えられた。従って、英語プレゼンテーションをする際には、目標言語材料と関連付けることのできるトピックを選択し、生徒がスパイラルに学習できるように単元構成をすることが大切である。  また、英語プレゼンテーションで生徒の英語でスピーチすることに対する抵抗を和らげるとともに、英語学習に対する意欲も高めることができた(p<.01)。プレゼンテーションの準備段階ではペアで活動することが多く、協力しながら進めることが多くなる。仲間の存在が英語学習に対する意欲を高めてくれたのだろう。 〈参考文献〉 眞田弘和 (2010).「英語プレゼンテーションに特化した授業による論理的思考能力を高める試み【共同研究】」『STEP BULLETIN vol.22、 pp. 161-181』東京:EIKEN BULLETIN