総合的な学習の時間では、児童が自ら課題を見付け、自ら課題を解決する力の育成が求められている。そのために、学習を通して発見した問題を自分事として捉え、解決の必要感を伴う課題意識にまで児童の意識を高めることが重要だと考える。
体験活動等を通して、児童は対象に対して様々な気付きを得るとともに、思いや願いをもつ。しかし、そこで得た気付きは、そのままでは無自覚なものである場合が多い。そのような児童の無自覚な気付きを、自覚化された気付きへと高めていくことで、課題意識が高まると考える。なぜなら、気付きが自覚化されることで、課題解決の必要感をもったり、解決への見通しをもったりすることができるからである。そのためには、児童がもつ思いや願いを適切に伝え合うことが大切だと考える。思いや願いを適切に伝え合うとは、自分の考えを主張したり、相手の考えを受け入れたり、互いの考えに折り合いを付けたりすることと捉える。
本研究では、児童が互いの思いや願いを適切に伝え合うコミュニケーションスキルの育成に着目し、実践を行った。本研究におけるコミュニケーションスキルは、以下3点のように捉える。
1 オープン・クエスチョン等、思考を広げたり深めたりする質問の仕方
2 あいづち等、好意的な態度を示す聞き方
3 アサーションスキル等、自分と相手の思いとの折り合いのつけ方
児童の課題意識を高めるために、上記のようなコミュニケーションスキルを意図的・段階的に児童に育成し、話合いの際、それらを活用させることでの指導効果を検証した。
<参考文献>
「自尊感情をもたせ、きちんと自己主張できる子を育てるアサーションスキルトレーニング40」 リサ・M・シャーブ著 上田勢子訳 黎明書房 2011
「信頼ベースのクラスをつくる よくわかる学級ファシリテーション② 子どもホワイトボード・ミーティング編」 岩瀬直樹・ちょんせいこ共著 解放出版社 2011