教育データベース

2017.02.02

小学校

理科

下越

平成28年度

観察・実験の結果に即した考察が書ける理科指導

新潟市立漆山小学校 豊岡 篤

 TIMSS2011では、理科において記述式の問題の正答率は51.4%で、半数近くが正答できていない結果となった。また、平成24年度に実施された理科における全国学力・学習状況調査では、「科学的な思考・表現」に関する評価が重視され7割の問題がこの評価に当てられていたが、平均正答率は57.8%であった。この調査の報告書の中で、理科において「観察・実験の結果などを整理・分析した上で、解釈・考察し、説明することなどに課題がみられる」と示された。
 知識はしっかりと身についているが、それを用いて科学的に説明したり、論述したりすることを苦手とする児童は多い。特に考察場面では、実験・観察で得られたデータを使っていなかったり、科学的な用語を正しく使えずに、論理的な文章になっていなかったりしている。
 そこで、考察において実験・観察から得られた結果を正しく使い、科学的な論述が書ける児童を育てるために、データの読み取りの工夫をしたり、話合いを通してデータと文章の整合性を確認したりして、考察を書くことができるようにする。
 次の3点から解決に迫った。
1 結果の整理
 これまでの実践から、予想や結果の整理の場面で、他者の結果と比較をしやすくすると規則性や法則を見付けやすいことが分かった。他の単元でも同様にまとめることができるか検証するとともに、考察への記述につなげるために実験結果にある共通の数値や現象に着目させた。
2 話合い活動
 話し合うときに、自分の考えを伝え合うだけの話合いになっていることがあった。そこで、話合う論点を、「実験の結果が正しく述べられているか」「結果から分かったことが妥当か」として、話し合いを行う目的を明確にした。
3 「科学のことばブック」の作成
 振り返りの場面で、新たに出てきた科学用語を単元ごとにまとめた。単元を通して繰り返し科学用語を確認し、使用することで知識の定着につなげた。
 児童の考察を書くための支援となったが、まだ論理的でない考察を書いている児童もいる。実験結果を正しく解釈し、考察を書くことができる児童を育てるために、これからも研究を続けていく。