2021年度全面実施される学習指導要領では、初等中等教育において、何を教えるかという知識の質や量の改善に加え、どのように学ぶかという学びの質や深まりを重視し、主体的・協働的に学ぶ学習(いわゆるアクティブ・ラーニング)やそのための指導の方法を充実させていく必要性について言及している。
アクティブ・ラーニングの学習スタイルとして、これまでにもファシリテーション、構成的エンカウンター、ピア・サポートなど、生徒間の相互作用を重視したものが多く扱われてきている。中でも生徒間のかかわりを重視した授業設計である、協同学習の基本技法に注目した。協同学習は、生徒が更に効果的に一緒に勉強するのを手助けするための原理と技法(JACOBS et al. 2002)であり、様々な技法がある。
1年生の方程式の単元を通して、協同学習のスタイルと技法を計画的に組織し、実践を行う。主体的・協働的に学ぶアクティブ・ラーニングの手法を取り入れることで、学習意欲と学力の向上につなげたいと考えた。
本実践では「協同学習の技法」(バークレイほか、2009)、先生のためのアイデア・ブック-協同学習のための基本原則とテクニック-(ジェイコブス 2002)を参考に技法を採用した。方程式の単元において、問題の質に応じて次の①~④の技法を用いた。①相談タイム、②お隣に聞こう、③ラーニングセル、④テスト=テイキング=チームである。これ以外にも多くの技法があるが、1年生なので、基本的な技法に絞って採用した。
実践を通して、生徒の学習意欲や学力の向上を図ることができたかを検証していく。また、協同学習の効果的な取り入れ方について分析をする。