商品当てゲームとは、次のような問題である。「挑戦者の前に3つの箱が置かれている。その1つは、賞品が入っている当たりの箱である。司会者はどれが当たりの箱かを知っている。ゲームの進め方は①挑戦者は、最初に1つの箱を選ぶが、中を見ることはできない。②司会者は、残った箱のうち、はずれの箱を1つ開けて見せる。③挑戦者は、最初に選んだ箱を変更する、または、変更しない、のいずれかを選択する。」である。
直観として、2択になるわけだから変更してもしなくても当たる確率は1/2になると思われるが、実際は変更した場合、当たる確率が2/3となる。
この授業において、これまでの自分自身の指導を振り返ると、次のような流れであった。
1 教師が商品当てゲーム問題を示す。生徒は数学的に変更してもしなくても当たる確率は1/2と考える。
2 教師が実験をして確かめるよう指示する。
3 教師が実験結果をまとめ、変更した方が当たる確率が2倍高くなることを確認する。
4 生徒がどうして2倍高くなるのか疑問に思い、数学的に追求する。
この流れの問題点として、ほとんど教師主導になっていることが挙げられる。
そこで、本実践では、ゲームの進め方で②を抜いた「進め方1」と通常の進め方である「進め方2」を対比的に提示した。このことにより、上記の流れが次のように変化した。
1’ 教師が「進め方1」と「進め方2」の2パターンを提示した。「変更しない場合、当たる確率はどちらの進め方でも1/3になるはずだから、進め方2で変更しない場合の当たる確率が1/2になるのはおかしい。」と生徒は考えた。
2’ 生徒は、統計的に確かめてみたいと思い、実験した。
3’ 生徒が実験結果をもちより、変更した方が確率が高くなるという評価をした。
4’ 生徒は、変更した方が確率が高くなることを数学的に追求した。
課題を対比的に提示したことにより、問題解決のプロセスを生徒主導で進展させることができた。しかし、「3’」では、実験方法が適切でない班もあったため、変更した方が高くなるという評価にとどまり、2倍という数値に着目できなかった。今後は「2’」に教師がどの程度介入していくべきかを検証していきたい。