全国学力・学習状況調査において、算数・数学の学習に対する関心・意欲・態度についてのアンケート結果が示されている。そこでは、各質問に対する肯定的評価が軒並み80%を超える中、「算数の勉強は好きですか」の質問に対する肯定的評価のみが7割を切り、66.7%となっている。
当学級では、昨年から「算数の授業が楽しいか」のアンケートを行っている。そこで、肯定的評価をした7割の児童は、課題を解決することに、楽しさを感じていることが分かった。課題について考えを巡らし、解を得ることが喜びにつながっていることを確認した。また、「数と計算」の領域が他の領域よりも、考える楽しさを感じる児童が少ないことが分かった。このことから、算数の「数と計算」の領域で、考える楽しさを実感する児童を育成したいと考えた。
6年生では、「分数の除法」について学習する。「分数の除法」では、演算決定が難しいことが広く指摘されている。当学級の児童も、分数の除法の学習で考える手だてをもてず、演算決定につまずき、楽しさを感じることができないと考えられる。
そこで、本研究では、「分数の除法」の学習において、演算決定するための手だてを用い、思考を促すことが、考える楽しさを実感することに有効かを検証する。
【手だて】
1 数の関係を比例的に捉えさせるために、対応数直線を用いる
対応数直線図を使って、数の関係を捉えたり分からない数を推測したりすることによって、演算決定を容易にすることができると考える。
2 数直線の数学的表記に対する意味付けや見直しを行う場面を設定する
数直線上に表わした数や矢印、比例的に捉えた数の関係を示す数学的表記について、考えの根拠を説明したり、他者の考えを知ったりすることで、演算決定における過程について考えを深めたり、演算決定の種類を拡張したりすることができると考える。
<参考文献>
分数の乗除法の意味指導に関する一考察 田端輝彦 宮城教育大学 2010
比例的推論の進展を促す数学的表記の探求による授業の開発と評価 日野圭子 宇都宮大学 2010