中学校学習指導要領解説社会編では、キーワードとして「思考力・判断力・表現力」の育成が示されている。また、次期学習指導要領に向けた、社会・地理歴史・公民ワーキンググループにおける論点整理においても、「思考力・判断力・表現力」は引き続き重要視されている。これは、社会的事象を単に「知る」だけでなく、その背景や理由を根拠をもって自分なりに表現する力を伸ばすことが今後も重視されていくことを意味している。
そこで、私は、単元構成を見直し、単元のねらいに即した資料を提示し、多面的・多角的に考察する場面を設定することで、生徒の「思考力・判断力・表現力」が高まると考え、研究テーマを「資料の読み取りに基づいて思考を深める授業づくり」とした。
また、上記の研究テーマに迫る手だてを、以下の3点とした。
1 単元を貫く学習課題の設定(=単元構成の工夫)
単元の始めに学習課題を提示し、生徒にゴールイメージをもたせる。1単位時間で習得した知識・技能を単元のまとめで活用できるため、社会的事象を多面的・多角的に捉え、根拠をもって自分の考えを表現することにつながる。
2 学習課題に迫るための資料の精選
次の3点を意識して資料の精選を図る。①教科書の記述を再確認できる資料、②教科書の内容を深化・発展させる資料、③教科書と違った視点の資料
これらの資料を比較・関連付けさせ、自分の考えを深めさせる。
3 小グループによる学び合いの設定
学習課題の追求のため、個人での読み取りを小グループで発表し合う場面を設定する。これにより、様々な見方・考え方に気付き、自分の考えを再構成することにつながる。
生徒の「思考力・判断力・表現力」を育成するためには、日々の授業を充実させることが必要である。今後も、単元構成の工夫や学習課題の設定、資料の精選を自らの研究課題として追求していきたい。