教育データベース

2017.02.02

小学校

社会

佐渡

平成28年度

比較・関連付けして社会的事象の意味を捉える子どもの育成

佐渡市立金井小学校 椎井 慎太郎

 「比較・関連付けして社会的事象の意味について考える力」は、社会科で育てたい思考力の一つである。しかし、現行学習指導要領の課題に挙げられているとおり、その指導は難しい。これまでの指導を振り返っても、「関連付けて考えましょう。」と、付けたい力を意識して声を掛けるようにしてきたが、一部の児童にしか関連付けを促すことができなかった。その結果、社会的事象の意味を明確に捉えさせることができなかった。
 そこで、本実践では、児童の自発的な「比較・関連付け」を促し、その結果として社会的事象の意味を捉えさせるために、思考ツールを活用する。思考ツールには、「情報の可視化と操作性」といった特性や「促す」「気付きやすくする」という役割がある。このような思考ツールのよさを最大限に生かすことによって、上述した思考力を育てることができるのではないかと考えた。
 そこで、本実践では次の手だてを講じた。
1 比較・関連付けをさせる場面において、同じ観点の足をもったクラゲチャートを2つ並べる
 社会的事象の意味を捉えさせるために、思考ツールの1つである「クラゲチャート」を活用し、2つ並べて比較しやすくする。さらに、比較した後の自発的な関連付けを促すために、クラゲの足を同じ観点で並べるようにする。このようにすることで、クラゲチャートAの足と、クラゲチャートBの足を比較しやすくするとともに、観点をそろえた足があることで、児童からの自発的な関連付けが促されると考えた。
2 関連付けを促し、相違点を明確にするための学習活動を設定する
 2つのクラゲチャートを比較・関連付けする際に、その相違点が明確になることによって、社会的事象の意味が捉えやすくなると考えた。そこで、そのための学習活動を設定する。具体的には、全体共有場面→自力解決場面→グループ検討場面の3つの学習活動を設定することによって、関連付けを促し、相違点を明確にさせるようにした。
 以上の手だてを行うことによって、6年生「新しい時代の幕開け」の第5時では、クラゲチャートを活用することによって社会的事象の意味を捉える児童が増えた。今後は、政治単元において手だての有効性を検証していきたい。