学習指導要領では、「公民的資質の基礎を養うこと」が明記され、これから国家・社会の形成者として行動していく上で、児童が社会的事象について自分の考えをもち、多面的に考える力が必要とされることが示されている。
そこで、以下の方策を用い、社会的事象を多面的に考える力をはぐくむ授業の在り方を研究した。単元名は、「世界とつながる日本の工業」(5年生)である。
1 価値判断を問う課題を提示する。
「(自動車の)国内生産と海外生産、どちらを大切にしたら日本の自動車産業は明るいと思いますか。」
2 調査活動を行い、事実を集めさせる。
資料を用いて情報収集をしたり、ゲストティーチャーの話を聞いたりする。
3 集めた事実をもとに、自分の考えをもたせる場を設ける。
討論を前に、自分の立場を決め、集めた事実をもとにして考えをもつ。
4 討論を行い、考えを交流させる。
討論を通して、多様な考えに触れる。
5 自分の考えをまとめさせる。
これまでの学習を総合して、自分が考えたことをゲストティーチャーに手紙を書く。
このような方策により、それまでとは児童の発言内容や記述内容に変化が見られ、多くの児童が社会的事象を多面的に考える力が付いた。成果とともに以下の課題もあった。
・資料をもとにした事実を自分の考えに反映さえるところにやや弱さが見られた。
・5が自由記述だったため、児童の考えが表出されにくかった。
課題を修正し、より児童の社会的事象を多面的に考える力をはぐくむ授業の在り方の研究を今後も進めていく。