文部科学省「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について」(2012)によると、知的発達に遅れはないものの学習面、各行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒は、推定値で6.5%と報告され、その中の38.6%の児童生徒は支援されていない可能性があることを指摘している。
当校でも研究の対象となった生徒は障がい傾向により周りの生徒と良好な人間関係を保つことができないばかりか、阻害され排斥されるような状況にあった。また、生徒を通じて周囲の保護者にも学校の様子が伝わり、学校の対応等に対する不満から問題が複雑化し、学級担任一人での解決が困難になった。本研究はこうした事例が生じてから一定の解決がなされるまでの間で、教職員が何を困難として感じたのか(生徒や保護者のクレーム処理できないことへの困難、困難が重なることへの困難、同僚への遠慮からくる困難など)、そして、その時どのような対応をとることで生徒の様子が変容してきたのかを総括し報告することとした。