今までの指導において、マット運動を好きでないと感じている児童が多かった。その理由として、決まった技しかできないから、技が難しいからなどが挙げられる。また、自分の体を自分の腕で支えることや逆さ感覚などに慣れていない児童が多いからだと考えられる。このことから、児童一人一人にマット運動に必要な基礎感覚を身に付けさせ、楽しさや安心感を味わわせる十分な時間が必要であると感じた。また、スモールステップで少しずつ技を習得していき、自信をもって活動できるように指導をしていく必要があるとも考えた。
そこで、昨年度の5年生「マット運動」では、①グループ内で互いの技を見せ合いアドバイスする活動 ②確実に技ができるようになるためのスモールステップの課題設定 ③デジタルカメラを活用し、自分の動きを確かめ課題をつかむ活動を取り入れた実践を行った。この実践の中で、多くの児童に運動技能の向上が見られた。しかし、一部の児童は、練習のポイントはつかむことはできたが、運動技能の向上までには至らなかった。
今年度は、昨年度の実践を受け、6年生全員の児童が確実に運動技能を高めることを目指し、仲間同士で技能を高め合う「競い合い」を取り入れた授業構成の工夫に取り組む。技の完成度を競い合うコンテストという「競い合い」を取り入れることで、グループ内では、高得点を獲得するための「仲間同士のアドバイスや支援」が活発に行われる。本研究は、高得点を獲得できる技の完成度を目標に、改善のポイントに基づいた練習に積極的に取り組み、確実に運動技能を高めていく子どもを目指した研究である。