W型問題解決モデルとは、文化人類学者の川喜田二郎によって考案された問題解決の手法であり、生徒の活動を思考レベルと経験レベルの2つに分け、「観察」と「実験」の2段階で問題解決を行うものである。これまでの自分の授業を振り返ると、1つの学習内容に対し解決のための活動を1回の観察または実験で進めていた。これに対しW型問題解決モデルをもとに、事象の性質やしくみを把握するための「観察」と、「観察」で獲得した知識をもとに仮説を立て検証する「実験」の2段階に分けて授業展開を見直し課題を設定した。このモデルの活用を通して「観察」の段階で獲得した情報をもとに,生徒自身が課題を自分のものとして捉えた「実験」を行うことができた。
また、本研究ではレポートの考察欄の記述が生徒の科学的な見方や考え方を最も表出させる部分であると考えた。そこで、レポート指導においては、考察欄に実験結果を根拠として記述し、課題と正対した結論を記述するように指導した。
研究の結果,実験レポートの考察欄の記述に生徒の表現力の高まりが認められ、W型問題解決モデルの有効性を実証することができた。
<参考文献>「発想法」/川喜田二郎.中央公論社.1967
<参考文献>「W型問題解決モデルに基づいた科学的リテラシー育成のための理科教育に関する一考察―問題の把握から考察・活用までの過程に着目して―」/五島政一・小林辰至.理科教育学研究 vol.50.№2.2009