学力に関する各種国際調査の結果をみると、日本においては、知識・技能、思考力・判断力・表現力に比べて、学習意欲が低い傾向が見られる。この原因としては、学ぶ目的と学んだ結果、どう高まったかをあまり伝えることがないまま進めている日々の授業もその要因の一つであると考える。即ち、学習意欲を高めるためには、なぜ学ぶのか、何を学ぶのか、そして、学んだことがきちんと身に付いているのか、いないのかを明らかにすることこそ重要である。
そこで次の三つの手立てを講じ、その有効性を検証する。
1 単元の指導計画の工夫
導入時に、単元のねらいに迫ることができる問題を提示し、この問題を解くために必要なことを児童自身に考えさせ、1時間毎に何を学んでいくのかを明らかにし、単元全時間分の学習計画を作成し、可視化した。
2 めあてとまとめの明確化と可視化
手立て1で作成した学習計画を基に学習計画に毎時間のめあてを明らかにした。授業の終末には、めあてに正対したまとめを書かせ、まとめたものを教室の壁面に掲示し可視化した。
3 理解度の可視化(全員ができるようになることを学習の目的として意識付ける。)
児童にとって1時間の学習内容が身に付いたのか、付いていないのかが明らかにならなければ、自分の力を判断することはできない。教師にとっても、1時間できちんと児童に力を付けることができたのか、できなかったのかを把握することができない。そこで、毎時間評価テストを行い、児童の定着度を把握し、教室背面に山登りのように掲示することで可視化した。
単元末児童アンケートと、単元末テストの結果から、三つの手立てが有効に働き、学習意欲が向上した児童が多く見られた。特に、特別な支援を要する児童に効果的であった。
今後は、有効に働く単元の導入問題の条件や、領域における相違点についても研究を進め、多様な領域で活用できるように汎用性を高めていきたい。