心身症と発達障害を併せ持つ児童の不適切な行動に対して、以下の2点からその症状の緩和や寛解を図った。 1 不適切な行動に対する3つのアプローチ
児童の不適切な行動に対して、第1に「不適切な行動への対応」、第2にその背景にある「障害特性からくる困り感への支援」、第3にそれらのべースとしての「自尊感情(自分を価値ある存在としてとらえる気持ち)の育成」を行った。これらは順番に行うというよりも同時期に、児童の状態を把握して行ったものである。 2 自立活動と各教科の密接な関連 □
上記の3つのアプローチに当たっては、学校の教育活動全体で行いやすいように、「個別の指導計画」に基づいて自立活動の時間の指導を中心に取り組んだ。主にSSTを中心に計画し、情緒の安定や適切な行動の形成を目指した。さらに、各教科の授業においても指導・評価することで指導内容の活用・汎化を図った。 □こうした取組を重ねた結果、児童は落ち着きを取り戻し、前籍校へ復帰することができた。これは、児童の不適切な行動に対して、職員間で一致した対応を心掛け、授業で特性を生かした指導・支援を取り入れることで学ぶ意欲が高まり、学習の取組を教師や友達が評価したことで自尊感情が高まったからだと考える。 今後は、前籍校に復帰してからも継続した指導・支援が受けられるよう引き継ぎやアフターケア等の学校間連携についても研究を進め、小中学校におけるインクルーシブ教育システム構築への一助となればと考えている。