総務省のフューチャースクール事業や,文部科学省の教育の情報化ビジョンでは,今後,児童生徒が専用の端末を持ち,普通教室で使用できる環境が整備されていくことを想定している。新潟市でも順にタブレットの導入が進み,従来とは異なる新しい学びや新しい学習支援の可能性が広がっている。
ところで,自学級の実態を考えたときに,ペアまたはグループの話合い活動場面において,どちらか一人が話し続けたり,何を話してよいかわからず黙ったままになったりして,かかわり合いが薄くなることが多くあった。ここに,自分自身の課題と授業改善の必要を感じている。
そこで,本実践では,タブレットを活用して,児童同士のかかわりを深めることで,相手意識を高めることをねらいとして取り組んだ。
児童にタブレットを使って友達とかかわらせることで,試行錯誤しながら課題を解決することができた。その中では,言葉で表せなかった部分も図に示したり,友達の意見を確認し合ったりしていた。それは,タブレットの大きな画面に複数人が寄り添え,タブレットの特性である「再現性」と「即時性」を生かして,自分の考えと相手の考えを比べたり,表現を直したりすることができたからである。「動きの可視化」が相手意識をもって表現することにつながったと考えられる。
よって,本実践を通して,タブレットを話合い活動に組み込むことによって,数人で知恵を出し合い問題解決を行うことができたり,自己を振り返ることができたりした。「みんながわかる」というユニバーサルデザインの観点からは,タブレットの「可視化」「共有化」が大変有効であることが明らかになった。