教育データベース

2015.01.26

小学校

平成26年度

みんなが分かる学習活動を支える授業の情報化

新潟市立亀田東小学校 伊藤 隆之

 
 平成21年に公表された「教育の情報化に関する手引き」の「第3章 教科指導におけるICT活用」の第一節「4.授業での教員によるICT活用の効果を高めるために」として,次のことが示されている。
「単に授業でICTを活用すれば教育効果が期待できるものではなく,ICT活用の場面やタイミング,活用をする上での創意工夫など,教員の指導力が教育効果に大きく関わっていると考えられる。つまり「ICTそのものが児童生徒の学力を向上させる」のではなく,「ICT活用が教員の指導力に組み込まれることによって児童生徒の学力向上につながる」といえる。」
 私は,これまで教科指導で学習課題への興味・関心を高めたり学習内容を分かりやすく説明したりするための大型TV提示用教材の開発に取り組んできた。しかし,教材のつくりによって「ICT活用の場面やタイミング」が制限され効果が十分に発揮できないことがあることを授業で実感してきた。例えば,提示用教材は操作をするためにしばらくPCのそばにいる必要があること,つまり操作のために,「ICT活用の場面とタイミング」が制限されてしまうといったことである。教材のつくりによって指導が規定されてしまう部分を改善し,より「活用する上での創意工夫」をしやすくすることで教育効果を高めたいと考えた。そこで教材のつくりにより,ICT活用の場面やタイミングを制限している部分を明らかにし改善することで,より教育効果の高い提示用教材の開発を目指し実践に取り組んだ。
「算数科での作図の場面において,作図の方法を教師の提示後,自動で何度も繰り返し再生する『自動モード』の機能をもたせ教師が操作せずとも提示できるようにすることで,つまずきのある児童に対応しやすくなり,児童が確実に作図をできるようになるだろう。」という仮説をもとに、4年生算数「角」の単元の角をかく場面での提示教材を開発した。
 自動モードを持たせた大型TVでの提示教材により、授業でのノートの見取りでは、全員が指定された角をかくことができた。また指導2ヶ月後のテスト(新潟市単元評価問題)における角をかく問題では35人中34名が正しく角をかくことができた。1名は指定された角の印のつけ忘れであったことから、角をかく手順についてはほぼ全員の児童に定着させることができた。この教材を用いた授業のわかりやすさについては児童全員が肯定的評価であった。
 今後は、自動再生の速度がどの位がよいのか、また提示だけでなくタブレット等で児童が手元で操作できるようなことも想定するなど、児童にとってさらにわかりのよい教材に改善することが課題である。