式は表現であるとともに思考の手段になる。しかし、多くの児童にとっては、式は答えを導く過程であり、問題解決の手段としてはとらえられていない。児童が式を生かして問題解決するためには式を読むことを中心として、意図的な指導が必要である。そこで、次の2点から研究を進めた。
1 オープンな問題場面を与え、それぞれの場合を式に表す
問題の数値を自由に変え、式が幾通りにも表せるようにオープンな問題場面を提示した。そして、いくつかの例をもとに1つ1つの場合について式に表した。問題把握しやすいように図も活用した。
2 式の提示方法を工夫する
幾通りもの式が出たら式を並列して提示し、式の数の変化を見やすくした。順序よく変化している部分は下学年の児童でも発見しやすかった。また、変化を見やすくするために図と関連させた。
このような研究を通して、図と関連させて式を読む活動で児童は、数の変化をもとにきまりを見いだし、また、そのきまりを用いて他の式を作ろうとする姿が見られた。しかし、きまりがどんな場合にも成り立つという理解は不十分であり、そのためには問題場面をさらに発展させるなどの働きかけが必要だった。式を読み、式を問題解決や発展的に考える手段として生かす指導は学年や内容に応じて今後も継続して行う。