中学年の社会科では、「比較・関連して見たり考えたりする力」を育てることが重要である。なぜなら、「比較・関連して見たり考えたりする」ことが、学習指導要領の態度目標「地域社会の社会的事象の特色や相互の関連などについて考える力」につながるからである。本研究では、「比較・関連して見たり考えたりする力」を獲得させ、他の事象に転移・活用できるようにすることを「社会的な見方や考え方を育成する」としてとらえる。
そのために本研究では、連続した2つの単元をスパイラル(前の単元と連続する次の単元で同様の単元構成や主たる発問を繰り返すこと)に構成することにより、児童は、事実の関連に気付いたり、事象の成立要因を見出したりできるようになる。そして、その見方や考え方を転移・活用して、事象の意味や意義を解釈したり、事象の特色や事象間の関連を説明したりできるようになると考え、研究を行った。
3学年の連続する単元「わたしたちのまちはどんなまち」と「わたしたちの市の様子」では、はじめに「2年生の学習をもとにした予想→探検→気付きの発表と地図づくり→特徴についての話し合い」を学校の北・西・東方面と繰り返し、その後中条地区の特徴を考えさせた。これにより、特徴となる建物や場所に目を向けさせるとともに、3つの方面で発見したものを比較・関連させて特徴を考えさせた。続いて、「地図をもとにした予想→探検→地図づくり→特徴についての話し合い」を繰り返し、その後胎内市の特徴を考えさせた。
4学年の連続する単元「ごみはどこへ」と「水はどこから」では、はじめに「家庭のごみ調べ→話し合い→市のごみ調べ→話し合い→ごみ処理場見学→話し合い」と繰り返し、その後「胎内市のごみは大丈夫か」を考えさせた。これにより、それまで調べてきた家庭や市のごみの様子と関連させて考えさせた。続いて、「家庭の水調べ→話し合い→市の水調べ→話し合い→浄水場見学→話し合い」と繰り返し、その後「今後水がどのようになっていくか」を考えさせた。そして、2つの単元を学習して、「自分ができることは何か」を考えさせた。ごみ処理も水の確保も、環境や資源をめぐる共通した問題であることから、キーワードを設定して自分の考えをまとめさせた。