教育データベース

2014.10.25

小学校

体育・保健

新潟

平成26年度

投力を高めるための効果的な指導のあり方

新潟市立横越小学校 布施 和法

  体育科において,子どもたちが体を動かして「楽しい」というのはもちろん,「できる」「分かる」と実感できることが大切である。また,投げる物(教具)も投力向上につながる物でなくてはならない。投力向上には,投げ方のポイントを教えるとともに,子どもに遠くに投げるコツを考えさせることが重要である。本実践では,新聞スティックを用い,トレーニングではなく,友だちとかかわりながら,遠くに投げるコツを見つけ,工夫していく授業のあり方を提案した。
  中心となる具体的な指導の手立ては次の2点である。
①体力テストで使用するソフトボールは,子どもにとって馴染みがなく,投げにくい。そこで,子どもが投げやすく,投げ方を習得しやすい「新聞スティック」を教具として活用する。新聞スティックとは,新聞を筒状に丸め,周りをテニスのグリップのようにガムテープで巻いて作成したオリジナルの教具。
②遠くに投げるポイントを教え,その後,子どもが楽しみながら,自ら投げるコツを見つけ,工夫していく学習活動を位置づける。
  本実践により,以下のような成果が得られた。
①新聞スティックは子どもの投げる動作の質を高めることができる。新聞スティックを持って,手のひらを下にして後方に引いた状態から,投げる動作を始めることで,肘を90度に曲げたり振りかぶって投げたりする動作を身につけることができた。
② 新聞スティックは投力の低かった子どもの投力向上に役立つ。投げ方が分からずソフトボール投げの記録が低かった子どもは,新聞スティックを使うことで投げ方のこつを身につけ,記録を向上させることができた。
   今回,4・5・6年生を対象に,肘の角度や位置に着目して,実践を行った。今後も,低学年を含め,全学年の発達段階を踏まえた系統的な指導のあり方について研究を進めたい。また,科学的に投げる動作の分析を行い,指導法をさらに工夫していきたい。

<参考文献>
体力向上に向けた学校の取組について~投力向上を目指したN市小学校の事例から~ 脇野哲郎(新潟市立総合教育センター)体育科教育学2012,P293
野球における,遠投力と上半身のIsokinetic Strength 黒岩真澄,吉松俊一,堀内忠一,中嶋学,山崎和美(更埴中央病院,整形外科,リハビリテーション科)日本体育学会大会号(4013)1989,P743
小学校における体力向上に関する一考察―体育生活の実態調査及びん投力に着目した授業実践を通して― 網中明仁(銚子市立清水小学校)廣橋義敬(清和大学)  日本体育学会大会号(55)2004,P620