教育データベース

2014.10.25

小学校

図画工作・美術

中越

平成26年度

児童が自分の思いを表現するための指導の工夫

見附市立名木野小学校 夏井 了照

やる気を出して絵を描き始めたはずの児童が,途中で「思っているのと違う。失敗した」と,意欲をなくしてしまう。または,「もう,完成でいい」と,表現を追求することをあきらめてしまう。このような姿がどのクラスにも見られるのではないか。
 教師は,児童がこのような思いをしなくてすむように,制作途中に児童との対話やアドバイスをこまめに行っている。しかし,クラス全員をもれなく見ることができないと,目が届かなかった児童から,自分の思いが表現できずに終わる児童が出てしまう。
 これらのことを考え,目指す児童の姿を「表したいものに合わせ,表し方を自ら工夫する児童」とした。そして,児童をこの姿にするためには,以下の2つのことが必要であると考えた。1つは,「児童が描きたい様子を表現する時に,どんなアドバイスや支援が有効なのかを考え,あらかじめ指導することで,児童の困り感を減らす。」ということ。2つ目は,「児童に自由に使える表現法をたくさん与えることで,組み合わせて新たな表現の発想を引き出すことを補助する。」ということである。
 本研究では,これらを達成する具体的手立てとして,補助教具や技法,技法に使う用具の使い方を,短時間で実際に使いながら学ぶ時間の設定を考えた。また,導入や鑑賞の場面にクイズを取り入れたり,試す場を出店のようにするなど,児童が楽しみながら制作できる環境作りを行った。これらの条件が揃った学習を「サポート学習」とし,これを事前に行うことで,目指す児童像の実現を目指した。
 今回の実践では,絵画の題材前に,2つの「サポート学習」を行った。1つ目は,平面的なモデル人形を動かし,参考にしながら楕円を使って人物の動きを描き,その後,クイズ形式での鑑賞会を行う学習。2つ目は,出店形式でモダンテクニックを学ばせ,様々な技法を試して習得する他,出来上がった紙を絵画の材料にする学習である。結果,全員ではないが,児童に補助教具を使った表現に工夫が見られ,一定の成果があったと考えている。