これまでの実践を振り返ると,子どもの興味・関心が薄れて活動が長続きしなかったり, 子どもの意識が次の活動へとうまくつながらなかったりすることがあった。子どもの対象への思いや願いを高められず,子ども自身が活動を発展させていくような単元になっていないからである。
そこで,次の2つの手だてを講じて,実践を行った。
(1)多様な活動を組織することができる学習材を選ぶこと
1年生でも栽培可能で,収穫後も活動に発展性がある綿を学習材とした。栽培活動だけで終わるのではなく,種から育てて収穫した綿を使って遊んだり,自分の手元に残るものをつくったりすることや,生活の中にある綿製品の存在に気付くことは,子どもに自然の面白さや不思議さを感じさせ,綿への見方や考え方をぐんと広げるだろうと考えた。そこで,綿を育てる,遊ぶ・つくる,調べるの3つの活動を柱とした単元構成にし,子どもが綿を多面的にとらえながら繰り返しかかわり,綿への思いや願いを高めていけるようにした。
(2)個の思いや願い,疑問を取り上げ,共通課題を設定すること
子どもから出てきた個の思いや願い,疑問を取り上げ,全体に共有させ,共通課題にして次の活動へつなげるようにした。これにより,子どもが自分で見付けた課題から,活動を発展させていくようにした。また,課題をもって活動し交流するという一連の流れを繰り返すことにより,子どもが探究を通して気付きの質を高めることを目指した。