電気や磁石,水溶液など仕組みが目に見えないものを扱う単元においては,どうしてその現象が起きるのか考えさせることで,児童の理解がより深まると考える。そこで,イメージ図を用いて考えさせ,それをもとに交流をさせる理科指導を行った。イメージ図とは,現象を自分なりの解釈で実験結果と整合するように絵や図に表現したものである。
電流のはたらきの単元は様々に条件を変えて電磁石の磁力がどう変化するのかを学習していく。磁力は目に見えないがクリップの付いた数等で磁力を比べることができる。その結果からどうしてそうなったのかを考えさせた。
1本の導線だと非常に弱い磁力しかなく,砂鉄を付ける程度である,しかし,コイル状に巻くとクリップを付けるくらい強くなる。この現象を体験した後でイメージ図をかかせた。そうすると,磁力を手で表し,1本の導線の弱い手(弱い磁力)が何重にも集まって,太い手やたくさんの数の手(強い磁力)になると,手の太さや数の違いで磁力の変化を表した。
電池を増やした場合と,コイルの巻数を増やした場合では,どちらも磁力が強くなる。目に見える現象は2つとも同じであるが,その違いも表現することができた。電池を増やした場合,コイルの巻数は変わらないので手の本数は変わらず,電池が増えたので手が太くなる。コイルの巻数を増やした場合,電池の数は変わらないので手の太さは変わらず,コイルの巻数が増えたので手の本数が増えると,実験の条件をそれぞれのイメージ図に取り入れて違いを説明した。
単元の最後に,電磁石の様々な現象を結びつけて整理させるために,いくつかの現象をもう一度イメージ図に表現させた。初めにかいたイメージ図は,現象と整合はしているが,なぜそうなるのかは曖昧であった。それに対して,単元の最後にかいたものは,理由まで説明している。
これらの姿は,イメージ図をかき,交流で仲間分けして比較させるなど,自分の考えを見直したり,友達の考えや表現の仕方のよいところを取り入れたりしてきた成果であり,考えを深めたと言える。
<参考文献>
子どもの科学的イメージをひき出す6つの技法 鷲見辰美 学事出版