算数科において「知識・理解」の習得率が向上しているのに対して「思考力」「活用力」の習得が十分ではなく、その育成が課題となっている。私は児童の思考力を育成するため、小学校中学年の算数科において演繹的な活動の実現を目指し、岩崎(2011)の提唱する「パターンの科学」※1)の流れで構成した授業を試みた。そこで明らかになった課題を分析し、新たな手だてを構築し、再度授業を行った。両授業のプロトコル(発話記録)を分析した結果、演繹的な活動を実現するための「児童に演繹的な活動を促す発問」「アクションプルーフ(操作的証明)」「児童による複数事例の操作」が有効であることが確認された。
※1「パターンの科学」について
授業の構成には岩崎(2011)「パターンの科学」を援用した。パターンの科学については下記のとおりである。
①(きまり・パターンの)予想(帰納・暗示的接触)
②(きまり・パターンの)適用・確認(帰納・支持的接触)
③(きまり・パターンの)定式化
④(きまり・パターンの)証明(演繹)
⑤(きまり・パターンの条件の一部を変更して)発展